「はいはい、師弟子愛をひけらかさない。」



千歳がパンパンと手を打つ。



「ひけらかしてなど…。」


「当事者が言っても。」



千歳にぐぅと言葉をのむ政隆。



「さっき、1人使いを出した。
すぐに爪鷹と耶粗も来る。」



芦多の顔が晴れた。



「二人とも元気か?」


「元気元気。
耶粗なんか、また筋肉ついて気持ち悪いぞ。」


「まったくだ。」



政隆も頷く。



「あの細い身体にどれだけ筋肉をくっつければ気が済むのか…。」



確かに。



芦多がここを出る前も、線の細いとのバランスがおかしかったのに。



あれ以上身体がごつくなるのも考え物だ。



「芦多!」



手すりにぶつかるようににて、耶粗が駆けてきた。



「耶粗…!」



芦多も走る。



二人はがっしりと抱き合った。



あとで追いついた爪鷹とも抱擁を交わす。



「よく帰ってきた。」



珍しく、爪鷹の表情が頼りない。



「ああ。」



芦多は励ますように耶粗の筋肉質な背中を叩いた。