「ただいま。」



一拍遅れて、わあっと歓声が上がる。



芦多の後輩達が一斉に走りよってきた。



「芦多様!」


「よくご無事で!」


「お帰りなさい!」



たちまち、芦多は勿論、そばにいた千歳まで揉みくちゃになる。



千歳はひぃっと悲鳴を上げていた。



「こらこら、うるさい!
政隆との感動の再会を邪魔するな!」



怒った千歳に一喝され、青年達はスゴスゴと引き下がる。



中にはちぇっと舌を鳴らし、千歳に蹴っ飛ばされる者もいた。



「政隆。」



芦多は黙って突っ立っている政隆に近づいた。



眉間にシワを寄せ、物凄い形相だ。



「……よく帰ってきたな。」



抱き合うと、政隆は小さい声で呟いた。



「無傷か?」


「まあ、怪我はしたが、幸い命は取り留めた。」



着物を肌蹴て傷を探そうとする政隆を、芦多は慌てて止めた。



「やめろ、何するんだ!
傷なんて、放っとけ。」


「しかし…。」


「もう完治したんだ。」



そうか、と政隆は大人しくなる。



「まったく、政隆は。」


「お前が心配をかけさせるからだ。」



珍しく、政隆がぶすっと膨れる。