そして手早く荷物をまとめた。



もともと、そんなに荷物は持ってきていない。



すぐに用意は整った。



「しかし、わしらは貴方様が必要です!」


「そうですよ、芦多様、この村に住んでくださいな。」



芦多は荷物を背負って、立ちふさがる二人と対面した。



「帰りたいんだ、私は。
会いたい人がいる。」



しかし急に、とまだよねは渋る。



「わかってくれるな?」


「芦多様…。」



与作はじっと芦多を見つめた。



「………わかりました。
この3年、芦多様はわしらの為に働いてくださった。」


「あんた!」



よねがキッと与作を睨む。



「会いたい人がいると。」


「…ああ。
会ったら、帰ってきたら言うと約束した。」


「あらあらまあまあ。」



よねは口元に手をやった。



「恋ですか。」


「へっへっへ。」



与作は嬉しそうに笑う。



…何がそんなに嬉しいか。