「琿坐があの子の師匠になってな。」



ポリポリと頭を掻き、千歳が言った。



「あんなに小さいのにですか?」


「あぁ、うん。」



何やら千歳は気まずそうに頭を 掻いた。



「小さいうちから訓練しとくと強くなるからな。」


「そういうものですか…。」



辰清はさっきから黙っている。



「辰清とよく似ていましたね。」



こくんと辰清は頷いた。



「驚きましたか?」



また頷いた。



「驚き過ぎたみたいだな。」



静かな辰清の頭に手を置き、千歳は灯世を見た。



「そうみたいですね。」



衝撃的だったんだろう。



「…辰清。」



呼ばれて、辰清は千歳を見上げた。



「さっき会った奴のことは忘れろ。」



え?



灯世は驚いて千歳を見るが、千歳はちらりとも灯世と目をあわせない。



「わかったか?」



辰清はじっと千歳を見つめ返す。



「約束だぞ。」


「…うん。」



気押されたのか、辰清は首を縦に振った。



なんだか納得いかない。



どうしてこんなに強引な…。



「知られちゃまずいことだってあるんだよ、俺達にはな。
わかってくれるな?」



真剣な目が灯世を射る。