「お疲れ様でした。」


「ほんとだよ。」



乱暴に本を投げ捨て、千歳はどっかと腰をおろした。



「なんで俺がこんなに勉強しなきゃなんないんだか。
俺は武闘派だっての。」



いつもの愚痴を散々吐き出し、千歳はやっとおとなしくなった。



「あーあ、俺も稽古したいなぁ。」


「最近、刀握らせてもらってないって言ってましたね。」


「そうなんだ。
ここ最近ずっとだぜ?
やる気失せるっつの。」


「うせるっつの。」



驚いて下を向くと、辰清がニコニコして立っていた。



「こら、真似してはいけませんって。」


「だって、千歳は言ってるもん。」



隣で千歳がすまんと灯世を拝む。



はぁ、とため息をつく。



「千歳さんは、大人だからいいのです。」


「わたしももう三歳です!」


「まだ、です。」



毎回、この押し問答だ。



政隆も向こうでクスクス笑っている。



と、キャーと叫び声が聞こえた。



「何!?」



辰清も驚いて、灯世にくっついた。