「この子は女の子です。
女同士遊ばせます。」



冷たく言い放たれ、辰清はわけがわからず俯いた。



辰清が見ていないのを確認し、灯世は里を思い切り睨んだ。



子どもに当たらないで。



つんと里はそっぽを向く。



里の夫は申し訳なさそうに灯世に頭を下げた。



辰之助は里の意図がわかっておらず、不思議そうにしている。



…きっと辰之助様には一生わからないわ。



「そろそろ、私達は失礼します。」


「そうか、では私も。」


「いえ、辰之助様はゆっくりしてらしてください。
私と辰清は先に戻りますので。」




行きますよ、と言うと、助かったという顔で辰清は立ち上がった。



「ありがとうございました。」



一応礼を言うくらいの礼儀はあったらしい。



里は小さく頭を下げた。



灯世も小さく会釈し、部屋を出た。



「よく我慢できましたね。」



足が痺れているのか、ゆっくりとしか歩かない辰清の手を引き、灯世は言った。



「もう、三歳ですから。」



最近、やたらと歳を強調してくるようになった。



そういう年頃かしらと笑い、灯世は流した。