もう、3年か。



芦多様は、もう21になられたのね。



灯世は顔立ちの大人びた芦多を想像してみた。



しかし、あれ以上端正な顔立ちを想像できなくて、頭を振った。



「わたくしと同じ年で、大変ですねぇ。」


「何が?」


「早くから妻となり、母となり。
また特別に術者でしょう?
尊敬します。」




灯世は照れるから見ないで、と顔を背けた。



「私はそんな人間じゃないんですよ?
罰があたりそうで怖いくらいに。」


「罰?」



いのは隣で首を傾げた。



「罰。
人には言えないくらい、重いの。」



今だに、芦多が忘れられない。



というか、忘れない。



まだ生きていると思うから。



灯世は、じっとアリの列を追ってアリ塚までたどり着いた辰清を見つめた。



「人には言えない秘密の一つや二つ、ありますよ。」



励ますように、いのは言う。



ありがとうと灯世は笑った。



「そうそう。
里様がご出産なされたとか。」


「あら、お祝いしなくちゃ。」



灯世は口に手をやった。