灯世は足音を忍ばせて縁側に座って刀を磨いでいる千歳に近寄った。



一心に刀を扱っている千歳は気付かない。



ニヤリと笑って、灯世はその背中に飛びかかった。



「千ー歳さん!」


「わあっ!?」



情けない声を出し、千歳は灯世にも振動が伝わるくらい大げさに身を跳ねさせた。



「灯世かよぉ。」


「へへへっ。」



まあ座れ、と千歳は隣を叩く。



灯世は膝を折って座った。



「…大変そうだな。」



大きなおなかがつかえる。



「だいぶ慣れましたよ。
確かに窮屈ですけどね。」



ふうん、と言いながら千歳は刀を脇に置いた。



「もうそろそろだもんな?」


「はい。」


「こんな寒い時期に御苦労なこった。」



顎を突き出し、千歳は舌打ちする。



「…触ってもいいか?」


「え?」



灯世はきょとんと千歳を見返す。