「それは、将来この三芳ノ国を担うんですもの。
たくさんのことを知っておかなくてはいけませんよ。」


「しかし…。」


「子どもが生まれたら、教えてあげられますし。」


「…そうだな。」



灯世はこういう誘導においては秀でていると自分で思う。



たちまち辰之助はやる気を出した。



「確かに、何よりも地学は大事だ。
いつ旅をすることになるかもしれん。」



どうやらサボっていた授業に出るつもりらしい。



ガサガサと書物等をかき集め、辰之助は立ち上がった。



「灯世、悪いな。
行ってくる。」


「いってらっしゃい。」



にっこり笑って送り出す。



辰之助はわくわくとした表情で部屋を出て行った。



「…さて。」



灯世はにやりとして立ち上がった。