しばらく身体を壊した灯世が医者から告げられた言葉。



「おめでたです。」



どれだけ灯世を打ちのめしたか。



ショックのあまり、布団から医者を見上げたまま、何も言えなかった。



正反対に、侍女達は、嬉しそうな声を上げる。



医者も一緒になって、笑顔をみせた。



灯世だけ。



灯世だけが、この部屋の中で浮いていた。



「灯世!」



侍女から聞いたのか、辰之助が部屋に駆け込んできた。



「灯世!」



息を乱し、辰之助が布団の脇に膝をつく。



「よく、やった。」



嬉しそうな顔をみて、罪悪感が胸を焦がした。



「大丈夫か?
体はつらくないか?」



かと思えば、心配そうに灯世の顔を覗き込む。



「・・・大丈夫です。」


「うん、それはよかった。」



まただ・・・。



少年のような純粋な笑顔を見るたび、灯世は胸が痛くなる。