「しっかりね、灯世。」



八重は言って、数歩下がった。



灯世は前に向き直る。



「行くぞ。」


「はい。」



耶粗が先に立って、門を出る。



灯世もすぐ後に続いた。



「来た!」



言った瞬間には、耶粗は飛び上がっていた。



大きく跳躍し、瞬く間に魔物を叩き斬る。



灯世は耶粗の背後に結界を張り、襲い掛かる魔物を消滅させた。



まだ、自ら結界に触れたものしか消滅させることは出来ないが、今はこれで十分だ。



「灯世、ちょっと下がる。」


「はい!」



疲れた耶粗の代わりに前に出、休息を与えられるようにまでなった。



いける。



そう確信した瞬間、力がみなぎった。



「はっ!」



自分でもどこにこんな力があったのかと思うほどの力が結界となって、陸空にいる魔物を取り囲んだ。



「滅しろッ。」



ギュッと拳を握ると。中の魔物は粉々に砕け散った。



「わぁ、凄いな。」



耶粗は汗を拭いながら、綺麗になった空を見上げる。



「また俺の出番ないな。」


「いえ、取りこぼしたものが。」



灯世が指差すほうには、足を片方なくした魔物がこちらに飛び掛かってきていた。



「了解。」



シャッと刀の一振りで片付け、耶粗は伸びをした。



「んー、終わったぁ。」