用意された座布団に座り、火にあたらせてもらう。



指先がジンジンと熱くなった。



「で、お名前は?」



どうやら、名前までは知らされていなかったらしい。



与作が遠慮がちに芦多を窺った。



「芦多。」


「芦多様…。」



茶を運んできたよねがくり返す。



「お歳は?」


「今年で18に。」


「そうですかぁ。
わしらの息子も、丁度同じだ。」



嬉しそうに、与作が言う。



「息子…?」


「はい。
今は畑に行っておりますが。」


「一人息子でして。」



言いつつ与作が茶を含む。



「息子と同い年の芦多様が使わされるなんて、よっぽど腕が立つんですねぇ。」



訛りのある口調で、よねが言う。



…理由など、言えない雰囲気だ。



芦多は曖昧に誤魔化した。



「村はどんな状況だ?」


「それはもう…。」



与作とよねが揃って顔をしかめる。