上手く玉は積み重なり、雪だるまとしての輪郭は出来上がった。



「…手が真っ赤だ。」



ふふっと笑うと、芦多は自分も雪の中に手を突っ込んだ。



「うん、冷たい。」



嬉しそうに笑うと、芦多はそのままバッと手を勢い良く跳ね上げた。



雪がパラパラと灯世達の頭上を舞った。



「冷た…!」



言いながらも、灯世は顔をあげて雪を受けた。



「はははっ!
雪で遊ぶのなんか、久し振りだ。」



芦多は少し寂しそうに言った。



「昔はよく政隆とこうして遊んだんだがな。
最近はめっきり減った。」


「忙しそうですものね。」


「…大人気ないしな。」



少し笑って、芦多は立ち上がった。



「さあ、そろそろ行こう。
これ以上は冷えて体に障るぞ。」


「はい。」



灯世は差し出された手に驚くほど自然に甘えた。



このまま…繋いでいてはくれないかな。



ほのかに期待したが、回廊に上がると、芦多は手を離した。



少し、残念。



灯世は1人で笑った。