灯世はこんもりと積もったふわふわの雪への好奇心が抑えきれず、パッと立ち上がると庭へ降りた。



ふわりと足がふごむ。



と同時に、キンと凍るような感覚。



灯世はしゃがんで、雪を手に取った。



体温で雪が水になる。



手には冷たい感覚だけが残った。



灯世は一心に雪をかき集め、丸を作る。



ぎゅっと雪を握りこむと、手がだんだん赤くなってきた。



灯世の拳の倍くらいの玉を作り終えたとき、背中から声がかかった。



「灯世。」



周りが見えていなかった灯世はびくりとして後ろを振り返った。



「芦多様。」



久し振りに芦多を見た気がする。



その声も、顔も、仕草も、全てが灯世を温かくする。



「何をしている?」



灯世は黙って雪の玉を掲げた。



芦多は少し驚いたような顔をして、灯世の隣に降りてきた。



「寒くないか?
風邪を引くぞ。」


「大丈夫ですよ。」


「雪だるまか?」


「はい。
久し振りなので、つい作ってしまいました。」



灯世は照れたように言って、玉を重ね合わせる。