「芦多くんも大変だねぇ。」



ははっと爪鷹は人事に笑った。



「爪鷹、お前…。」


「だってさ。
芦多っておもしろいんだもん。」



駄目だ、何を言っても無駄だ。



こいつには私の言いたいことが全然伝わっていない。



芦多は灯世の帰りがとても待ち遠しかった。



さっさと飯でも出てくれば、こいつらも大人しくなる。



芦多はズリズリと這うようにして、壁際に寄った。



部屋の中では、飽きることなく二人が取っ組み合っている。



爪鷹は爪鷹で好き勝手に芦多の私物を漁る。



ああ、部屋が…。



芦多は今までで一番大きなため息をついた。