「まったく、また始まった。」


「外でやってほしい。」



ムッとして、芦多は取っ組み合う二人を睨んだ。



「こっちに逃げときなよ。」



ちょいちょいと爪鷹は芦多を手招く。



何故お前に勧められなければならないんだ。



とかなんとか言いながら、芦多は空けられたスペースに移動した。



「うがー!」



どうやら組み敷かれて動けなくなったらしい千歳が叫ぶ。



「はっはっはっ、どうだ、降参かぁッ!」


「うー!」



耶粗のムキムキの腕に押され、結局千歳は降参した。



「あ〜、くそ。」



ドサリと千歳が畳に倒れる。



「お前、力強すぎるんだよ。」


「お前がひ弱すぎるんだよ。」



きぃぃっと千歳が歯を剥く。



「もー、二人ともうるさいよ。」



爪鷹がピッと耶粗の服の裾を引っ張った。



耶粗が滑って頭を打つ。



「ぐおあぉっ!」


「爪鷹、余計うるさくなった。」



芦多は顔をしかめる。



「うるさくするなら俺の部屋から出ろ。」


「やだよ。」


「お前の部屋は俺の部屋。」


「何言ってんだ…。」



芦多は言い返す気も起きず、ぐたりと肩を落とした。