残った魔物が混乱してギィギィと耳障りな鳴き声を発しながら散る。



しばらくして、千歳の前から結界が消えた。



千歳は目を丸くして、身体を起こした。



「今の、何だ?」



戦うことも忘れ、4人は灯世を振り返る。



当の灯世はポカンと突っ立っていた。



「灯世か?」



尋ねられるも、首を傾げる。



灯世自身、自分が何をしたのかわからなかった。



「続行!」



混乱している灯世を取り敢えず放置し、4人はまた戦闘に戻った。



さすがに4人が疲れてきた頃、やっと魔物たちは引き上げた。



というか、敵方の術者が召還した。



もう残っていないのを確認し、千歳がバタンと地面に倒れた。



「終わった~。」


「やっと寝れる~。」



爪鷹と耶粗も続く。



芦多は3人と同じようにあられもない姿(格好が捩れたり、折れ曲がっていたり、さまざま)を曝すのがプライドが許さなかったらしく、歩いて灯世のところまできた。



「大丈夫か?」


「はい…。」



興奮が収まらない。



「よくやった。」



芦多に手を引かれ、立ち上がる。



「灯世、あんがとね、助けてくれて。」


「あ、え、いや、あの。」



プッと耶粗が吹き出した。



「灯世、何言ってるかわかんねぇ。」