どれだけ待ったか。



攻撃は突然だった。



ガンッと目で見て取れるくらい、結界が歪んだ。



「なんだよ、結界って本来透明なんじゃないのかぁ?」



目の上に手をかざして、千歳はその様子を眺めた。



「灯世、大丈夫か?」


「なんとか。」



灯世は歯を食い縛った。



負けてたまるか。



母様の代わりを務められるくらいに強くなるんだ。



「んっ。」



反動を利用して、魔物を押し返す。



「やるねぇ。」



最早、魔物の容姿に慣れたらしく、皆笑って観戦している。



「って、俺達は出てって始末してこなくていいの?」


「もしかしたら出て行っていただくことになるかも…。」



灯世が言い終わらないうちに、魔物の数が急激に増えた。



「あ゛。」



唖然とする灯世を見て、爪鷹は笑った。



「どうやら俺達の出番が来たみたいだね。」


「よっしゃあ!」



誰かの鴇の声に、皆が続いた。



「気をつけてくださいね。」



芦多の服の裾を捕まえる。



芦多は心配するなと優しく笑った。