チラリと横目で忍を見ると、ニコニコとした顔を張り付けていた。

(できるな忍…。)

「誰かにぶたれたようにしか見えないけどねぇ、忍や。」

白蓮は口元を左手で隠しながらそう笑って言った。

忍は笑顔に冷や汗をかきながら「そうですか?嫌ですわぁ御館様、私じゃありませんわ。」と、かなり怪しい切り返しをした。

その様子を見つめる沙綺と透の眼差しは冷ややかだった。



一通りの談笑が終わった頃を見計らって、御影が口を開いた。

「御館様、そろそろ本題を…。」

白蓮は御影に頷き返すと、再び話し始めた。

「貴方達を呼んだのは、顔を見たかった事の他に1つ頼みごとがあったからじゃ。」

そう言うと白蓮は透達の表情を見た。

「先日、沙綺から報告を受けた妖の捜索に出していた退魔士が消息を絶ってのぅ。
その上、その仲間の捜索に当たっていた者が今朝、近くの村で遺体となって発見されたのじゃ…。」

白蓮は一度話を切ると、お茶を一口すすった。

「それがその妖の仕業なのか、別の者の仕業かはわからぬ。
じゃが、このまま放っておくには危険じゃから貴方達に妖退治を頼みたいのじゃ。行ってくれるかぇ?」

そう言って白蓮は顔を上げた。