「あんた、あの時の…。」

透は何気なく指をさすと呟くように言った。

御影は微笑みながら頷くと、白蓮の待つ部屋へと先導して歩きだした。


そして白蓮の部屋の前に立つと、中に呼びかけた。


「御館様、御影です。沙綺達が到着しましたので案内しました。」

中から柔らかい返事が返ってきたので、御影は扉を開いて中へ入っていった。

透達も後に続くと、白蓮が座る前にそれぞれ腰を下ろした。
ただ、御影だけが白蓮の横に壁を背にして立っていた。


「よぅきたねぇ。おはよぅ。」

白蓮はにっこりとして皆に挨拶をした。
透達も挨拶を交わすと白蓮の言葉を待った。

「新しい生活環境は整ってきたかぇ?彩音と忍も仲良ぅやれそうね?」

「はい!彩音仲良しだよ!ね、お兄ちゃん?」

彩音は元気良く答えると、首を傾げて透の顔を見た。

「はい…。」

そう呟いた透の顔には殴られたアザが残っていた。

その顔を見て白蓮は笑いだした。

「ホホホホホ。貴方も男前になったわぃねぇ。誰にやられたのかぇ?」

「しの…」

透が答えそうになると、隣に座ってる忍が白蓮から見えないように透の尻をつねりあげた。

「…いえ、風呂でコケただけです。」