軽めの朝食をとった後、四人はタクシーに乗って白蓮の屋敷へと向かった。


屋敷は相変わらず手入れや掃除が行き渡っている、透は純和風なこの屋敷が好きだった。

屋敷の中は広くてまだ覚えていなかったが、彩音達は話しながら歩いているところを見ると、流石に慣れているのだろう。

長い廊下を歩いて行くと、途中で一人の男と会った。

メガネをかけた少しヨレたスーツの男、おそらくは30代だと思われるサラリーマン風な様相をしていた。

その男を見つけた沙綺は声をかけた。


「あ!御影さん、お久しぶりっす!」


(みかげ?じゃあこの男が沙綺の師匠か。)

透はその男をマジマジと見つめていると、男と目が合った。


「ああ、沙綺と会うのは久しぶりだな?彩音と忍も元気そうだね。
後ろにいるのは神楽さんですね?お久しぶりです。」


「…俺は会った記憶はありませんが?」

その答えを聞いた御影は少し微笑んだ。


「先日ベンチで座ってる時に話かけたんですが、お忘れですか?」

透はその言葉に、どこかで聞いたことある声だと思っていたが、御影があの時のサラリーマンであることに気がついた。