まずは彩音が部屋に入ってきた。


「お兄ちゃんどお?彩音可愛い?」


彩音は一回転回ると、透の横にくっついて座った。

透は沙綺に言われたとおりに褒めることにした。


「彩音もその服良く似合うぞ?」


「ホントにぃ!やったぁ!」

そう言って徹の右腕に抱きつくと満足そうにしている。


「忍もそこにいるんだろ?隠れてないで出て来いよ?」

ドアの隙間から様子をうかがっている忍を見つけると、透は呼びかけた。


「わ、笑わないか?」

忍は赤らめた顔だけ出して透に聞いた。


「?ああ、笑わないさ。」

その答えを聞いて、忍はゆっくりと部屋に入ってきた。


ヒラヒラのスカートを握りしめて恥ずかしそうにうつむいている。

透はその格好を見て素直に言った。


「似合うじゃないか。別におかしくないぞ?俺は可愛いと思うが。」

それを聞いた忍は目を輝かせて顔を上げた。



「本当か?か、可愛いと思うのか?」


「…?ああ、可愛いと思うぞ?」

その言葉に忍は嬉しそうにアハッっと笑った。

(忍が笑ってるの始めて見た、いつも笑ってりゃ可愛いのに。)

満足そうに出ていく双子を見送りながら、透はそう思った。