透は時間稼ぎをするために二人にそう言った。

二人は顔を見合わせると、お互いの服を交換して立ち上がった。


『着替えてくる。』


見事にハモった双子は部屋に帰っていった。

透は初めて深いため息をついて沙綺の部屋へと向かった。


コンコン…ガチャ…


「沙綺、助けてくれ。女の子が服について似合うかと聞いてきたら何て答えたらいいんだ?」


沙綺は横になって、見ていたテレビのボリュームを下げると透に言った。


「ああん?服だぁ?そんなもん適当に褒めときゃご機嫌だろうぜ?」


「褒めればいいのか?」


「ははぁーん、さては忍達に捕まってんだろ?よっぽどあんたが気に入ったんじゃないのか?
ヒューヒュー!モテていいねぇ!あははは。」


「…沙綺、勘弁してくれ…どうしたらいいのか分からん。」


透は珍しく情けない顔を沙綺に見せた。


「だから言っただろ?嫌われても迷惑、気に入られても迷惑なやつらだぞって。こうなりゃ仕方ないから頑張れよ!あはは。」


透は肩を落とすと沙綺の部屋を出て、自分の部屋へと帰っていった。

ベッドに座ると、バタバタと部屋に双子がやってきた。