透が座っていた場所には、錆びて既に使われていない金庫が置かれていた。

「何!?ここにいたはずだ!どこに消えた!」

男達は腕を押さえながら周りを探した。

すると背後から声が聞こえた。

「あっはっは!…どこ見てんだよ、狸にでも化かされたような顔してよ。」

その声は透だった。

帽子の男も初めて、帽子のツバを上げて呟いた。

「神楽の末裔よ…。その力!「犬神」の力ではないな!?」

透はゆっくりと帽子の男に顔を向けた…。

「ああ、コレは母親の力さ、お前等が殺した一族のな…。」

そう言うと、透の目は、より一層輝きを増した。

その様子を見た男達は、チャンスとばかりに、叫びながら透に襲いかかった!

「どこ向いてんだよ!オラァ!」

そう叫んだ瞬間!男達は全身を青い炎に包まれた!

「ぐわぁぁあ!熱い!がぁぁあ!」

男達は暴れたが炎は消えない、そして何をすることも出来ずに床に倒れた…。

その様子を見て帽子の男が口を開いた。

「それは僧正の力!?それまで継いでいたとは…お前は、「狐狗狸」憑きか!?」

「そうだ。お前等が手に掛けた神楽一族最後の末裔、神楽透…。
父、母、爺様に憑いていた妖が俺の中に居るのさ…。」