透はあきらめをつけると、双子の質問に答えるために部屋に帰った。


「あー、とりあえず何でこんなに服が散らかってるのか教えてくれ。」


透は両手を腰に当てると、床に散らばった服を見つめてそう言った。


「だってぇ！しーちゃんが彩音の買った服が着れないって言うんだもん！ぷ〜！」


そう言った彩音の手に握られている服は、ピンクの可愛らしいキャミソールとヒラヒラしたスカートだった。


「当たり前じゃない！そんなヒラヒラしたの恥ずかしくて着れないわよ！」


そう言った忍の手に握られていたのは、白い女物のシャツにネクタイが組み合わさったものと、スリットの入った大きな赤黒交差ストライプのスカートだった。


（双子なんだから何着ても同じじゃないのか？）


透は率直な感想を考えたが、これだけ騒いでる二人にそれを言う勇気が透にはなかった。


「お兄ちゃんも変だと思うよねぇ!?」
「あんたも変だと思うわよねぇ!?」

「……………。」

透はいい言葉が見つからずに、手を顔に当てた。

どうやら二人で話をしても決着がつかないから、透のところに来たらしい。

「試しにお互いの服を着てみたらどうだ？見ないと答えきれない。」