薄い月明かりが闇夜を照らす夜。
空に輝く星達が、まるで黒いドレスに散りばめられた宝石のように輝く夜、あの日透達の結界から抜けた出た女がいた。


高い建物の屋上から、月を背にして立つ姿は、まるでかぐや姫のようだった。

胸元の大きくはだけた、どこか花魁の様にも見える着物を身にまとい、微笑みながら下を見下ろしている。


「フフフ…あそこが白蓮のお屋敷、退魔士の本部なのね…。」


そうつぶやくと、透たちの住むマンションの方を向いた。


「あっちが坊や達のお家ね?確かに、風水と龍脈の位置関係からしたらベストね…。」


女はそう言うと腕を組んだ。



「さて、場所は分かったけど私はどうしようかしら…?面白そうだからもうしばらくは見てようかな。フフ。」


片手を口に当てて楽しそうに笑うと、女はスゥっと姿を消した。