ギィィィイイ

扉が軋んで開かれると、そこには黒服の男が立っていた。

まるで教会の牧師のような黒くヒラヒラとした服に、円くツバのついた帽子を目深にかぶり、顔は口元しか見えない…。

その口は白い歯をむき出しにして、怪しくにやけていた。

その後ろには、左右に分かれて、黒スーツの体格の良い男が控えている。

「とてもじゃないが、迷子で来ましたってツラじゃ無いな…。」

透は舌打ちすると、そうつぶやいた。

一瞬の静寂の後、口を開いたのは帽子の男だった。

「…ようやく見つけましたよ、神楽の末裔。
君には選択肢が二つある。
自分の足でついてくるか…歩けなくなって連れて行かれるのか…。どちらを選ぶ?」

男はにやけた口のままそう言った。

透は金色に光る目で睨みつけながら答えた。

「死にたくなければ帰って寝てろよ。にやけ顔のオッサン…。」