その少し前…。

透と沙綺は、残りの妖の居場所を探していた。

2人はいつ襲撃されても対応できるように、周囲を警戒しながら森の奥へ入っていった…。


森の中は、夕闇に包まれてほとんど見えない。
たまに木々の隙間から射す月明かりだけが頼りだった。


「なぁ神楽、一つ聞いていいか?前にも聞いたが、お前の退魔能力って一体何なんだ?」

沙綺は呪符を持って歩いたまま、顔だけ透の方へ向けた。

透は沙綺の方を見ることなく、周囲に気を配りながら答えた。


「妖憑きだよ……。」


「アヤカシつきぃ?なんだそりゃ!?」

沙綺は聞いたこともない内容に高い声を上げた。

透は口の前で人差し指を立てて、声がでかいと注意した。


「俺には一族の者だけが持つ、妖混じりの血が流れている。
神楽一族は妖の力を借りて妖を滅する退魔士だ。」

沙綺はいまいち理解できないといった顔で頭をかいた。


「まぁ…御館様が信頼する一族なんだから、危なくはないんだろうけど…不思議な力だな。」

そう言った後、沙綺は異変を感じた!


「チッ!!神楽!結界が破られた!」