沙綺は無言だが必死に走っている。
しかし迷いもなく走っているところを見ると、どこかに目的があるのだろう。

透は疲れてる足に気合いを入れて、必死に沙綺の後を追った！


沙綺は住宅街から外れた場所へ進んでいった。
外はもう日がほとんど落ちて、オレンジ色の空から青っぽい夜の始まりへと変わっていた。


「はぁ、はぁ…どこまで行く気だ!?」

透は一度立ち止まると膝に手をついて息を整えた。
沙綺の姿は見えている…
どうやら町外れの森の方へ向かっているようだ。


「何なんだよ…ったく！」

透は再び沙綺の後を追っていった。
森の近くまでくると、沙綺がこっちを向いて待っていた。


「おせーぞ神楽！…いいか、今から結界の中に入るが、あんたも気配を絶て。
まずは中にいる妖が何かを確認する。いいな？」


「はぁはぁ……ああ…わかった。」

沙綺は返事を聞くと、ゆっくりと森へ入っていった。
透も一つ深呼吸をした後、森へと進んだ。