「しかし、現にあやつは生きておる。
そして今もなお退魔士達を殺し続け、現在に残っている退魔士一族の殆どが滅ぼされてしまった…。
しかも、組織を組んでおるのであろう?」


「…はい。爺様は鴉天狗と言う妖にとどめを刺されましたし…俺の所に来た時も、アイツは組織という言葉を去り際に使ったのを聞きました。」


透は過去を振り返って、白蓮に報告した。

「………………。」

白蓮は視線を落とすと、しばらくの間考え込んだ。


「…そうじゃの…この件については少し考えることがある、それはまた後日話すとしましょう。
他に何かあるかえ?」

白蓮は顔を上げて透を見つめた。


「…はい…あの、俺はこれからどうしたらいいのでしょうか?
…爺様が言う仲間が貴女達であるならば、ここに来た理由があるはずです。」


白蓮は透の訴えに対して大きく頷くと答えた。


「貴方は高名な神楽玄奘殿の後継者にして、神楽一族の最後の退魔士。
このまま貴方が黙って見ていられるほど、ウチらに余裕はないぞえ?
…妖と戦えるのは退魔士だけ。
生き残りを賭けて戦いなさい。
時がくれば貴方の力を借りることになるでしょう。」