「そんなある日の事じゃ。
葉明が恐れておった事が起きてしまったのじゃよ…。

退魔士達が太刀打ちできないほどの強力な妖が現れ、次々と陰陽師や退魔士達を殺していったのじゃ。
遙か遠い中国大陸から来た妖…名は、鵺(ぬえ)。」

透はその言葉を聞いて顔を跳ね上げた!

「鵺だって!?白蓮様!ソイツは…!」


「そう、僧正殿を殺した大妖じゃ。」


白蓮は透が言い終わる前に手で透を制して、答えを言った。


「…鵺に対しての退魔士達の損害は大きかった。
その時ばかりは邪道と言われた葉明の力すら借りなければならないほどにな。
…長く厳しい戦いの中、葉明の術によって結界に捕らえられた鵺は、最後の気力を振り絞った清明の一撃により、滅んだ…。
そのはずだったのじゃ…。」

そう言うと白蓮は眉間にシワを寄せて悔しそうな、不安のような、今にも泣きそうな顔をした。