翌日から透は宿が見つかるまでの間だけ屋敷にやっかいになろうとしていたのだが…。



「貴方の家を準備させました、沙綺と同じマンションの部屋どす…。
不都合はあるかぇ?」

朝から白蓮に呼び出された透は、開口一番そう告げられた。


「え?あぁ…いや、無いですが…。
白蓮様、どうしてそんなにしてくれるのでしょう?」

透はどうしたらよいか分からないまま白蓮に答えた。


「ほほほほ、面白い事を言うのぅ。
貴方はウチらにとって因縁浅からぬ仲じゃ。
その客分を宿無しのまま放って置くなど出来るものかぇ?
心配は無用…あそこは私の物じゃ、宿代などいらぬよ。」

白蓮はそう言うと、透ににっこりと微笑んだ。


「…そうですか…心遣い誠に感謝します!」

透はキチンと座り直すと、深々と頭を下げた。
本当に白蓮の心遣いが有り難かったのだ。

「頭をお上げ、気に入ってもらえたなら何よりじゃ。
それに沙綺が近くにおる方が何かと安心じゃからのぅ。
あの子はあれで頼りになる退魔士じゃ、仲良ぅしぃや?」

白蓮はにこやかな顔のまま透に告げた。

透は顔を上げると、白蓮に気になっていた事を聞いてみた。