「ヒグッ…沙綺ちゃんとお兄ちゃんが雪女にやられました…彩音がもっと強かったら…ヒグッ…。」


涙を拭わずにただ真っ直ぐに白蓮を見つめながら、彩音はスカートを握りしめて悔しがっていた。

白蓮は事態の重さに顔をしかめて彩音に質問した。


「沙綺と透さんは間違いなく倒されたのかえ?忍はなぜ倒れてるのじゃ?」


「沙綺ちゃんは凍らされて…お兄ちゃんは避けきれなかったと思うの…グスッ…それを見てしーちゃんが怒って、前鬼が暴れて…ヒグッ。」


「もうよい彩音、ワシから話す。」

後ろから月読が彩音の肩に手を置いて言った。
そして白蓮に向き合うと、簡単な自己紹介から話し始めた。


「初めてお目にかかるな。ワシの名は月読、猫又じゃ。そなたの後ろにおる男の神社でやっかいになっておる。」


月読を見つめて、白蓮はようやく納得して頷いた。