地面に膝を着いたまま、凍った沙綺を見上げる悲しそうな透を見て、命はしばらく考えた後にポツリと呟いた。


「…神聖な炎なら…妖の炎ではなく、格の高い炎ならもしかしたら…。白蓮なら知ってるかもしれないわね。」


「白蓮様!そうだ!!俺も行かなきゃ!…このまま沙綺は放っておけない、一緒に連れていこう。」


透は立ち上がると瞳の色を金色に光らせて、犬神の能力を使った。

沙綺にかかる重力を無効化すると、軽々と肩に抱えて飛び上がった。


命は何も言わずに飛び去っていった透を見上げて、寂しそうに独り言を言った。


「何よ、お礼くらい言ってくれてもよかったのに…せっかちな坊やねぇ。」

それから透の慌てた顔を思い出して、命は楽しそうにクスクスと笑った。