「そうだ、沙綺」


透は凍り付いている沙綺の元へと走った。完全に氷の中に閉じこめられた沙綺を見て、透は狐火の火柱で氷を包み込んだ!


「沙綺!死ぬんじゃないぞ!必ず助けてやる!」


必死になって氷を溶かそうと炎を放つ透だったが、一向に氷が溶ける気配がなかった。


「…坊や…そんな事しても無駄よ?氷の精と言ってもおかしくない雪女の氷は、そう簡単に溶けないわ。
例え火の妖の炎であってもね…。」


ゆっくりと歩いて来た命は、透の肩に手を置いて残念そうに言った。


薄々気が付いていた透は、炎を放つ事を止めてガックリと膝を着いた。


「…命さん、何か方法はないんですか?もう、助からないんですか?」