鴉天狗は刹那の横に立ち、下に広がる街の明かりを見た。


「ねぇ鴉…何故人間達は妖を憎むのかしら…?」


「ハァ?!頭イカれたか!?そんなもん昔からじゃねーか!何を今更言ってやがる!」


無表情のまま呟く刹那に向かって、鴉天狗は驚きを隠さなかった。


「神が創ったこの大地を…汚し、破壊してるのは人間達なのにね…。」


「何を意味の分からないこと言ってやがる!早めにカタつけねーと、鵺の旦那に俺等がやられるぞ!?」


「旦那様…そうね、そろそろ行きましょう。」


刹那は立ち上がると、手に持ったリンゴ飴を瞬時に凍り付かせた。


   カシャッン…。


指先でつついただけで砕け散ったリンゴ飴を見つめて、刹那は氷の微笑を浮かべた。