先を歩いていた透は、後ろからついてくる気配を感じずに立ち止まった。

「ん…?沙綺、ちょっと待ってくれ。忍達がついて来てない。」


透は振り返って確認すると、沙綺を呼び止めた。

「そっか、じゃあここら辺で待っとくか。…って何してんだよ…。」


沙綺が目にしたのは、透に襟首を掴まれて、ワタワタともがいている月読の姿だった。


「にゃにゃ!ぅにゃ!」

「分かったから、後で買ってやるって。」


実は少し歩く度に、右へ左へとフラフラする月読に目が離せなかった透は、猫の首を掴むように毎回止めていたのだった。


「ちょっとくらい良いではないか!ワシも色々見たいんだ!」


「お前は見たいだけじゃ無いだろ?すぐに何でも捕ろうとして…。」


「人聞きの悪いことを言うな!置いてあるのが悪いのだろう!?」


「置いてあるんじゃなくて売ってるの!人間はお金と交換するんだよ。お前は金持ってないだろ?」