ホーホー…ホーホー…。

月明かりがほのかに射し込む森の中、時折キラリキラリと光を反射するものがあった。


それは腰まである長い銀髪…刹那だった。


刹那は鵺からの命令によって、鴉天狗と共に京都へとたどり着いていた。
二人は比叡山の山中から街の灯りを見下ろしていた。


「刹那よぉ!派手に行こうぜ!!パァッとよ!!退魔士だけ狙うなんて、かったりぃ事言ってねーで皆殺ししちまおうや!な!」


鴉天狗は相変わらずの大きな声で刹那に言った。

刹那は街を見下ろしたまま、鴉天狗の話には答えなかった。


「街の灯りが綺麗…祇園祭も明後日から…。」


今まで人間との関わり合いの無かった刹那は、祭りに憧れを抱いていた。

それは鵺の命令よりも優先される事ではなかったが、一日待てば参加できると心が揺らいでいた。