その命令に対して刹那はゆっくりと頷くと、洞窟の出口に向かった。

鵺は刹那の背中に向かって、一つ付け加えた。


「鴉天狗を連れていけ。奴は使える、上手く利用しろ。」


その言葉に刹那は半身を振り返らせて頷いた。


「分かりました。旦那様の喜ばれる結果をお持ちしましょう。」


「ふん、せいぜい殺されないように気をつけるんだな。」


「彼らはきっと、雪女は冬にしか現れないと思っているでしょう…。暑さに弱いなんて迷信なのに…。」


そう呟いて刹那は退魔士達の住む町へ向かった。


そして洞窟に一人残った鵺は、後少しで回復する右腕を見つめて、次の襲撃の計画を立てることにした。


(…特に邪魔なのは白蓮…だが、奴等は全力で守るだろう。将をとるには馬を射よ…逆手を使うか。クックックック。)

洞窟の中に鵺の笑い声が響いた…。