一方その頃…

龍脈の力を借りて傷を癒していた鵺は、この10日程の間にかなりの回復をしていた。


相変わらず気の向くままに飛び回っている鴉天狗の代わりに、いつの間にか鵺の介護に当たる妖が居た…。


銀色のしなやかな髪、淡い水色の瞳、驚くほどに白く透き通った肌の女…。
その白い着物をきっちりと着こなした女は、鵺に向かって話しかけた。


「旦那様、ご容体…大分良くなられましたね。」


鵺は片目だけ上げると、その女に返事を返した。


「刹那か…。頼みもしないのに世話を焼く奴だ…。何を好き好んでここに居る?」


その言葉に刹那(せつな)と呼ばれた女は、少し微笑みながら答えた。


「私は、どこに行かれようとも、旦那様の元に居ります。」