沙綺は手をヒラヒラさせながら大丈夫だと答えた。


「そうか、それならいいんだが…。」


そういった透に向けて沙綺は眉間にシワを寄せて言った。
…正確には透の背後でピョンピョン跳ねて前を見ようとしてる何かに向けた視線だったが。


「あんたの後ろで跳ねてるの誰だ?」


沙綺の言葉に振り返ると、透が立ち止まったせいで廊下から出れなくなった月読が立っていた。


「早く入らんか!前が見えぬ!」


「…ああ、すまん。忘れてた。」


そう言って透が数歩移動すると、鼻をフンッと鳴らして月読もリビングへと入ってきた。


    ガタンッ


急に椅子から立ち上がった音がしたので、透が顔を向けると沙綺が固まっていた。


「どうした沙綺?知り合いか?」