「御館様、ぬえの襲撃により戦える退魔士が少ない今、俺も力になりたいんです!!」


沙綺は今までの自分に感じていた不甲斐なさを白蓮にぶつけた。


そんな沙綺を慈しむような眼差しで見つめた白蓮は、優しく語りかけた。


「沙綺もいつの間にか大人になったんやねぇ。…つい最近まで危なっかしい子供やったんに。
お前は自分が思っているよりずっと優秀な退魔士なんよ?それなのに不甲斐なさを感じるって事は、それだけ力が付いたって事やねぇ。」


そう言うと白蓮は立ち上がり、沙綺について来るように指示をした。


沙綺は部屋から出ていく白蓮の後について行った。


「どこへ行くんですか?」

自分より遙かに背の小さい白蓮の後ろ姿に、沙綺は問いかけた。


「ん?…今から符術士の戦い方の応用を教えてあげようと思ってねぇ。」


白蓮は沙綺に振り返ることなくそう言った。