「最後の結界士…確かにもう私しか居ないねぇ…。」


白蓮はそう寂しそうに呟くと目を伏せた。


そこに沙綺がかねてより聞きたかった質問をぶつけた。


「御館様…前から思ってたんですが、なぜウチには他に結界士が居ないのですか?」


その質問に対して白蓮は一言だけ答えた。


「誰にも伝えてないからじゃ…。」


「何故です!?技の伝承はそれほどまでに困難なんですか!?」

沙綺は身を乗り出して言った。

白蓮は伏せていた目を開くと、ゆっくりとした口調で話した。


「沙綺や、結界とはいかなるものか答えられるかぇ?」


「結界?何を今さら!」


「良いから、思うた通りに言ってみぃ。」

白蓮は柔らかい口調のままで沙綺の興奮を抑えると、静かに微笑んだ。