時は透と別れた後の白蓮の屋敷へと遡る。

透が神社で命と話を始める頃と時を同じくして、沙綺は白蓮の部屋に座っていた。


沙綺は白蓮に結界の準備状況を報告した後、白蓮に1つ、願いを言った。



「御館様、1つ折り入ってお願いがあります。」


「私に何か出来ることなら何でも言ってみぃ?」

白蓮は湯呑みを手に持ったまま、優しい眼差しを沙綺に向けた。


沙綺は真剣な顔で白蓮を見ると、話を続けた。


「…はい、話というのは他でもありません。俺に結界術を教えて欲しいのです。」


「結界術?お前はすでに使えるではないか…?」

白蓮は不思議なことを言う子だといった顔をして、沙綺を見つめた。


「違うんです!俺が言ってるのは、結界士が使う結界のことです!今となっては結界士は御館様しか居ないのです。」

沙綺はそう言って白蓮の回答を待った。