「チカラヲシメセ…。」


「どんな力だ!?示せるものなら示してやる!」


「チカラヲシメセ…。」

透は繰り返し答えてくる焔狐の言葉に戸惑った。

月読の方を見ても、彼女は透を見据えたまま口を開く気配はなかった。


(力…何のことだ?焔狐が求める力とは何だ!?)


…透は考えていた。
沙綺が言った術者との契約は何だったかと…。


(確か沙綺はこう言ったはずだ。単純な力の時もあれば、精神力の強さの時もあると…後は、想いの強さか。)


『センダイノ…イシヲツゲ。』

焔狐の言葉がいきなり頭に響いた!


(先代!?意志!?…先代…爺様の事か!!)

透は気が付くと声を上げて焔狐に向かって叫んだ!


「神楽の名において誓う!我が一族の望みは全て等しく我にあり!我が命に代えて望みを叶えん!」


『ソノチカイ、ミトドケヨウ…。』


透の叫びに応えた焔狐は、再び飛び上がると透の右腕へと戻っていった!

「アツッ!」

透は右肩に強烈な熱を感じた。
そこには一文字、焔の字が焼き付いていた。


(うまくいったのか?)