「…ワシは以前に神楽の長である僧正殿にお会いしたことがあってな、その焔狐を見たことがあるのだ。」


「爺様に会ったことがあるのか!?じゃあこの力の事は…」


「もちろん知っておる。…神楽の能力もな。だから今から教えてやる。」

そう言って月読は目の前に右手を伸ばした。



「よいか?ワシと同じく手を伸ばせ、そして手のひらに出来るだけ大きな炎を灯せ。」


透は月読に言われた通りに手を伸ばすと、意識を集中させて蒼い炎を造り出した。

それを確認した月読は話を続けた。


「よし、その炎を見つめて呼びかけろ。…妖の声を聴き、協力を頼め。」

透は今の月読の姿の変化と、炎への集中で頭が一杯になりそうだったが、必死に意識をつないで指示に従った。


(爺様から受け継いだ妖狐…居るなら応えてくれ…お前と話がしたいんだ…頼む!)