「契約ってのはね、術者が対象に力を示して認めてもらうことなのよ。
それで初めて、呼び出して力を借りれるの。
でも月姉は別、最初から力になってくれる代わりに、私達の命令に縛られたくないって言って、契約はしてないのよ。」


「おい、大丈夫なのか?妖だろ!?」


「大丈夫よ。月姉が裏切ることはないわ。
それに、確かにあんたの修行にはもってこいかもしれない。」


「でしょ〜?にひひ〜!」

彩音はしてやったりといった顔をして笑った。


「まぁ、お前達がそう言うなら任せるよ。そいつと戦えば修行になるんだな?」

何気なく言った透の言葉を聞いて、忍は青ざめた。


「いい?しっかり聞いてね?月姉に勝とうなんて簡単に言っちゃダメよ?
命が惜しかったらお願いしますって必ず言いなさい。」


「ん?ああ…分かった。何でそんなにビビってんだ?」


「い、い、言えないわ。」

忍は冷や汗をかきながら首を横に振った。

その様子を見て、彩音はぴょんと立ち上がると、広場に向かって歩きだした。