それから間もなくして訓練場に透達は着いた。


そこは上から見た感じよりも広く感じられて、抜けるような青空と、周りを囲む森の緑、そして裏を流れる滝の音が透の心を癒していた。


木造の建物の中に入ると、玄関口から囲炉裏が見えた。右には台所があり、日本昔話に出てきそうな田舎の平屋と同じ造りに感じられた。


どうやらもう一軒は風呂と便所がある建物らしい。
透は2軒の建物の周りを一周して、忍達の所に帰って来た。


「…なるほどな…生活環境は整っているみたいだ。」


透の呟きに、リュックから水筒を出して彩音に飲ませてた忍が話しかけた。

「まぁね、たまに御館様の指示で退魔士が施設管理にも来るから。」


「道理で綺麗だと思ったよ。」


「てことは、あんたもしっかり掃除して帰るってことよ?頑張ってね!」

彩音から水筒を返してもらって、自分に注ぎながら忍は言い捨てた。


(ぐっ…俺から頼んだ手前、何も言えない…。)

透は肩をがっくり落としてため息をついた。