パンパンッ…!


「なに考えてるのよ全く!」

忍は手を叩きながら地に伏せた透の亡骸に言い捨てた。

透は意識だけはかろうじてつなぎ止め切れたので、スマン…とだけ答えた。


「今回は初の視覚結界通過だから許してあげるわ。
思わず手を出したくなる気持ちも分かるから。」


(じゃあ…こんなに力一杯ぶたないでくれ…。)


口には出せないその言葉を胸に秘めて、透はノロノロと立ち上がった。


周りを見渡してみると、先ほどまでと変わらない獣道が続いている。



振り返ってみると彩音が後ろに立っていた。
岩壁など、そこにはない。


「これが視覚結界…凄いな。」


「あはは!お兄ちゃん驚いたぁ!」

彩音がニコニコと笑って言った。



「さぁ、いつまでそうしてるのよ。先に行くわよ?」


「あ、ああ。」

そう言うと忍が先に歩きだしたので、透と彩音もそれに続いた。