「よし、準備終わりね。じゃあ食べましょ。」

忍はエプロンを外して席に着くと、皆に向けてそう言った。


「ああ、ありがとう。いただきます。」


「いったらっきまーす。」



モグモグ…パクパク…


「美味い!」
「おいふぃ!」

一口食べた透と彩音は最も単純な感想を述べた。

「…ありがと。お世辞でもうれしいわ。」

忍は目を閉じたままご飯を口に入れて言った。

それを見て透は、目を合わせるのが少し恥ずかしいんじゃないかと思った。


「忍はこれだけ家事がこなせれば、いつでもお嫁さんになれるな。」

透は特に何も考えずに、思ったことを言った。


「なお嫁さん…お嫁…。」

忍は箸に乗せたご飯を落とすと、パクパクと口を動かしながら透に対して驚きの表情を向けた。

透はその様子に全く気がつかないまま夕飯をぱくついていた。
…そして、何気なく忍を見て透は言った。


「ん?どうした固まって?顔赤いぞ?」


「は…な、何でもないわよ!」

忍は少し焦りを隠せないまま再び食事を取り始めた。